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履歴  

公開,2009年2月24日
記載ミス修正,2009年2月25日
一部修正,2009年5月29日

災害調査 課題名  ニトヌプリ南西斜面雪崩調査  

現地調査代表者山野井克己・森林総合研究所北海道支所実施期間平成21年2月10日
現地調査参加者大西人史(雪崩事故防止研究会)
高橋学察(雪崩事故防止研究会)
杉山 慎(北大・低温研)

その他:有志協力者3名(内1名は雪崩当事者のガイド)

[目  的]  

2009年2月8日にニセコ山系ニトヌプリ南西斜面で発生した雪崩調査を行うことにより、発生メカニズムの解明と調査で得られた情報を今後の雪崩事故防止に役立てることを目的とする。

[災害の概要]  

2月8日午前9時55分ごろ、蘭越町のニトヌプリ(1080m)の南西斜面(標高742m付近)で雪崩が発生した。雪崩は標高差77m、距離148mを駆け下り停止した。雪崩の走路中の標高685m付近を登高していたスキーツアー中の10人の内、客3人とガイド1人が雪崩に巻き込まれた。4人はすぐにほかのツアー客らに救助されたが、客2名が重軽傷を負った。

[実施内容]  

<調査パーティー構成>  

リーダー    山野井克己(全体統括、積雪調査責任者)
サブリーダー  大西人史(安全管理責任者)
メンバー    杉山 慎
        高橋学察
        その他有志協力者3名(内1名は雪崩当事者のガイド)

<行動概要>  

2009年2月10日
8:30 チセヌプリスキー場駐車場集合 事前打ち合せ
9:00 入山
9:30 被災地点付近到達
10:00 発生地点付近到達
10:30〜14:30 発生地点付近にて積雪調査、雪崩範囲の計測
14:45 堆積区付近の踏査
15:00 下山
15:20 湯の里テレメータの確認
15:30 チセヌプリスキー場駐車場
16:30〜18:30 雪崩発生時の状況についてヒアリング調査
18:30 解散

<調査内容>  

1.GPS測定による雪崩範囲と遭難者埋没位置の特定
2.雪崩規模の推定
3.破断面の積雪調査<層構造,雪質,密度,硬度,雪温,せん断強度,上載荷重>
4.気象観測テレメータの確認
5.雪崩発生時の状況に関するヒアリング(当事者ガイド)

[調査結果]  

GPS測定による雪崩範囲と被災者埋没位置の特定(測地系:WGS84)  

破断面観測地点北緯42°52'37.51"東経140°36'31.92"標高742.01m 斜度約40度(現地計測)
デブリ末端北緯42°52'35.11"東経140°36'27.40"標高661.26m 斜度約20度(現地計測)
遭遇点北緯42°52'36.13"東経140°36'29.50"標高684.57m 斜度約35度(現地計測)
埋没点1北緯42°52'35.73"東経140°36'28.37"標高668.5m
埋没点2北緯42°52'35.64"東経140°36'28.51"標高671.6m
埋没点3北緯42°52'35.56"東経140°36'28.49"標高671.6m
埋没点4北緯42°52'35.62"東経140°36'27.84"標高660.3m


ニトヌプリ雪崩全体図.jpg
530x530 427.3KBニトヌプリ雪崩図.jpg
530x530 158.7KB
図1 ニトヌプリ雪崩全体図図2 ニトヌプリ雪崩図
ニトヌプリ雪崩拡大図.jpg
645x530 130.5KB図3 ニトヌプリ雪崩拡大図.

規模  

発生地点ニトヌプリ 南西斜面 標高742m付近
破断面標高742m付近 幅約13m 破断面高さ60〜70cm
デブリ末端標高661m付近 幅約12m
デブリ規模標高差:約18m 水平距離:約43m 沿面距離:約46m 幅:約12m〜26m
走路規模標高差:約59m 水平距離:約83m 沿面距離:約102m 幅:約13〜26m
雪崩の破断面からデブリ末端まで標高差:約77m 水平距離:約126m 沿面距離:約148m 見通し角:31˚


ニトヌプリ雪崩(全体写真).jpg
569x768 183.3KBニトヌプリ雪崩(発生区).jpg
640x480 151.3KB
図4 ニトヌプリ雪崩(全体写真)図5 ニトヌプリ雪崩(発生区)

断面観測  

 雪崩発生後2日経過した2月10日には雪崩の痕跡はほとんど埋まっていた。しかし、破断面が僅かに確認できたので(図6)、破断面を含む断面を掘り出し断面観測を行った。図7に発生直後に堆積区付近から撮影した破断面の写真を示す。破断面は右側ほど深くなっているようである。雪崩発生前は写真左側より強風が吹いていた。降雪に加えていったん積もった雪が風によって運ばれることにより、風下に多量の雪が堆積したものと思われる。また、破断面下方の走路内にはいくつかの雪塊が確認される。
 調査値点は標高 742 m で斜面傾斜は40˚、破断面の高さは 75 cm (積雪層の厚さは 57 cm)であった。図4に示すように発生地点周辺はダケカンバの疎林であるが、発生区の上下は無立木の斜面となっていた。
 積雪断面構造を図9に示す。調査は 420 - 250 cm の範囲で行った。積雪断面観測の結果から、強度の弱い層は、

深さ      雪質        硬度
362 - 360 cm  新雪・こしまり雪  指2本
349 - 345 cm  こしもざらめ雪   指4本  
329 - 326 cm  こしもざらめ雪   指1本

の3層が確認された。現地での破断面の観察と断面観測の結果などから、349-345 cm のこしもざらめの層(弱層)が破壊して面発生乾雪表層雪崩が発生したと推測される。弱層上の層のうち 362 -398 cm のこしまり雪は粒径の細かな一様な風成雪であった。シアーフレームによりせん断強度を測定した結果、349 - 345 cm の積雪安定度(SI)は1.0となった。弱層となったこしもざらめ雪の写真を図10 - 12 に示す。

DSC_0035.jpg
3872x2592 479KB
 : NIKON CORPORATION
 : NIKON D80
 : 2009-02-10 11:14:29
 : 1/400
 : f/10.0
 : 27mm図6 埋雪せずに露出した破断面の一部
(2月10日撮影)
PICT0006.jpg
3008x2000 502.9KB
 : KONICA MINOLTA
 : ALPHA SWEET DIGITAL
 : 2009-02-08 10:56:01
 : 1/1000
 : f/9.0
 : 202mm図7 発生直後の破断面(当事者ガイドによる提供写真)
破断面は右側ほど深く見える。
手前の走路状にはブロックッ状の雪塊が残っている。
DSC_045_app.jpg
1954x1309 487.8KB図8 破断面を含む積雪断面


ニトヌプリ南西斜面 .jpg
600x444 104.4KB図9 積雪断面構造
標高 742 m
積雪深 420 cm
斜面傾斜 40˚
破断面の深さ 75 cm

  /:こしまり雪
  ●:しまり雪
  ◯:ざらめ雪
  □:こしもざらめ雪


mt_039.jpg
3072x2304 506.6KB
 : OLYMPUS IMAGING CORP.
 : u790SW,S790SW
 : 2009-02-10 14:21:31
 : 1/250
 : f/4.0IMG_9155.JPG
2048x1536 575.8KB
 : Canon
 : Canon PowerShot S30
 : 2009-02-10 12:15:58
 : 1/60
 : f/4.9
図10 345-349cmのこしもざらめ雪の接写写真図11 345-349cmのこしもざらめ雪の拡大写真
DSC_0057.jpg
3872x2592 497.8KB
 : NIKON CORPORATION
 : NIKON D80
 : 2009-02-10 14:18:29
 : 1/250
 : f/8.0
 : 60mm図12 345-349cmのこしもざらめ雪の接写写真
せん断試験後のせん断面




[成果と効果]  

 本調査では破断面を確認して断面観測を行うことができたため、こしもざらめ雪の弱層となった積雪層を確認することができた。また、当事者パーティーのガイドが調査に加わることにより、埋雪してしまった発生区と堆積区の範囲および被災者の埋雪状況をほぼ確認することができた。
 今後は調査結果に気象データの解析を加えることにより、発生に至った気象条件と積雪状態の関係を明らかにすることが出来る。

[成果の発表・貢献]  


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