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履歴  

2016年3月29日作成

災害調査 課題名  

研究代表者雪氷災害調査チーム・阿部幹雄実施期間2015-2016シーズン
研究参加者立本 明広 [リーダー]
杉山 慎(北大・低温研)
下山 宏(北大・低温研)
榊原 大貴(北大・低温研)

[目  的]  

2016年3月26日に羊蹄山で発生した雪崩の調査。【速報】

注)速報であり,本報告までに、編集によりデータが追加され、数値等は変更される可能性がある.
また、破断面の観察についての詳細データはまとめ次第、報告する予定である。

[災害の概要]  

2016年3月26日10:10頃,北海道京極町などの羊蹄山(1898メートル)で雪崩が発生し,道内に住むスノーボーダーの30歳代とスキーヤーの40歳代の同僚男性2人が山スキーをしていて雪崩に巻き込まれ,このうち40代の男性が行方不明となった.同僚が119番通報を通報をし,道警がヘリコプターで上空から捜索したところ,雪崩は山の7合目付近で発生し,長さ700メートルにわたって斜面の雪が崩れていることが確認された.道警山岳遭難救助隊と自衛隊などの捜索隊が同日夕まで捜索を続けたものの発見できず,28日12:20頃に,標高895 m付近の深さ約5.5 mの雪に埋もれて心肺停止状態で発見され病院に搬送されたが,間もなく死亡が確認された.

[実施内容]  

  • 2016年3月27日06:15に札幌からの調査メンバー出発.
  • 2016年3月27日07:00に小樽からの調査メンバーと合流し羊蹄山に移動.
  • 2016年3月27日09:30に道警捜査現地本部西槙さんに説明し,許可を得た上で京極コースより入山.
  • 2016年3月27日13:00に標高1340 m地点より破断面の観察・写真撮影.
  • 2016年3月27日13:30に京極コース南側の沢の標高1430 m地点にて積雪断面観測.
  • 2016年3月27日17:30に調査メンバー下山.
  • 2016年3月27,28日に現地で取材していた北海道新聞小野聡子記者とのやりとりに対応.

[成果と効果]  

<雪崩の概要>  

  • 発生時刻:2016年3月26日10:10頃
  • 面発生乾雪表層雪崩
  • トリガー:不明
  • 調査日時:2016年3月27日13:00–15:40

<規模、破断面の特徴>  

破断面緯度N42˚49'58"–N42˚50'02"経度E140˚48'55"–E140˚49'02"標高約1400–1500 m(目視による観察と地形図から推定)
方位東から南東長さ不明厚さ第2破断面で約30–50 cm,第1破断面では最大約1 m(沢の対岸からの目視による推定)
斜度不明雪質こしもざらめ 粒径 0.5 mm(現場近傍での積雪観測結果から推定)
破断面から埋没地点まで距離約1040–1200 m標高差約500–600 m走路の幅約10 m(目視による観察から推定)

<雪崩範囲>  

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地図1. 現地地図.青字はデータに基づく位置、赤字は現地観察・写真からの推定位置.
背景地図等データは国土地理院の電子国土Webシステムを利用した.
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写真1. 3月27日08:50に山麓より撮影した雪崩発生現場(撮影:立本).写真2. 3月27日10:00に山麓より撮影したデブリ堆積区(撮影:立本).
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写真3. 3月27日08:40に山麓より撮影した雪崩発生現場(撮影:杉山).写真4. 3月26日09:20に山麓より撮影した雪崩発生現場(撮影:Julien Seguinot).

<破断面,発生区写真>  

  • 堆積区では捜索活動が行われていたため,破断面での測量・積雪観測は実施せず,南側の尾根上標高1340 m地点より破断面の目視観察・写真撮影を行った.
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写真5. 3月27日08:50に山麓より撮影した破断面(撮影:立本).写真6. 3月27日13:00に標高1340 m地点より撮影した破断面(撮影:杉山).

<積雪断面調査結果>  

  • 破断面に近い条件と考えられる京極コース南側の沢標高1430 m地点にて積雪断面を調査した.
  • 調査地点の南側すぐ横において,シャベルコンプレッションテストを2人が各々2回実施し,破断したと考えられる弱層において,CTE,CTM,CTH(SP)とCTH(RP)の結果(立本:CTE6(SP),CTM11(SP),榊原:CTH23(RP),CTH21(SP))を得た.

調査地点緯度N42˚49'57"経度E140˚49'06"標高1,430 m
斜度30˚方位
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 : Canon
 : Canon PowerShot S100
 : 2016-03-27 04:24:26
 : 1/400
 : f/4.0snowlayer_v2.jpg
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写真7. 観測を行った地点における積雪断面.図1. 観測を行った地点における積雪構造.
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図2. 積雪観察結果.オレンジ線が破断したと考えられる弱層の存在する高さ.赤のクロスは弱層での硬度.

<破断したと考えられる弱層>  

  • 積雪断面調査を行った地点において地表から61–62 cmの層で弱層が確認された.
  • 61–62 cmの層はこしもざらめ雪であった.
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 : Canon
 : Canon PowerShot S100
 : 2016-03-27 04:14:06
 : 1/30
 : f/4.0
写真8. 弱層の拡大写真(撮影:杉山).写真9. 61–62 cmの弱層におけるこしもざらめ雪の結晶.ゲージは1 mmピッチ.

[成果の発表・貢献]  


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