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2021年2月17日07:00 Ver.1公開
災害調査 課題名 キロロBC雪崩事故調査 Hokkaido Kiroro BC Avalanche Accident 【速報】Prompt report 
研究代表者 Organizer | 尾関 俊浩 Toshihiro OZEKI, Hokkaido Univerisy of Education | 実施期間 Period | 202--2021シーズン 2021年1月26日現地調査実施 |
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研究参加者 Members | 塚原 聡 (北海道バックカントリーガイズ) Satoshi TSUKAHARA (Hokkaido Backcountry Guides) 塩崎 裕一 (北海道バックカントリーガイズ) Yuichi Shiozaki (Hokkaido Backcountry Guides) 榊原 健一 (北海道医療大学) Ken-Ichi SAKAKIBARA (Health Sci. University of Hokkaido) |
[目 的]Objective 
2021年1月26日に北海道余市郡赤井川村の1107峰-969峰で発生した雪崩の調査。【速報】
Investigation of the avalanche accident occurred in the Kiroro BC area: the bowl between 1107 peak and 969 peak (Jan. 26, 2021)
注)速報であり,本報告までに、編集によりデータが追加され、数値等は変更される可能性がある.
[災害の概要]Outline of the incident 
1名死亡: 人為的発生による雪崩:
- スノーボードによるBCの滑走中の単独行 (37 歳, 男性) が雪崩に遭遇し,発見時には心肺停止の生命兆候の無い状態.病院へ搬送後,死亡の診断.
- 滑り面の上の風成こしまり雪が形成つす所謂ウインドスラブが滑り落ちたことによるウインドスラブ雪崩.
- 雪崩の規模 (標高差: 210 m, 水平距離 412 m, 走路長 462.4 m: 地図より計測)は破壊サイズ DS = 2
事故の経過 (調査チームメンバおよびR1-R4への聞き取りに基づく)
- 2021年1月26日 13:00頃 雪崩発生.単独行Aが雪崩に巻き込まれる.
- Aよりも上の位置に,,1107峰北北東沢上部スキーヤーズライトの1020付近で別パーティーR1, R2, R3, R4の4人パーティーが滑走準備で待機中に,50 m程下の稜線で風を避けながら滑走準備をしているAを確認しており,その後,Aが滑走を開始し雪崩発生.
- R1-R4のパーティーはAの滑走および雪崩発生の瞬間を確認していないが,R4の足元までシューティングクラックが走り崩れたことで雪崩発生に気づく.
- R1-R4は安全を確認しつつレスキューを開始.スノーボードが雪面に露出しており,雪崩トランシーバによる捜索はせず,直接スノーボードの場所まで行き掘り出し.顔まで掘り出すのに苦労する (埋没時間確認中)
- 掘り出し後,Aが心肺停止して生命兆候が無いことを確認.口から出血.CPRの開始.
- 13:24 キロロパトロールより1107峰付近で雪崩発生との電話連絡が調査チームのメンバに入電
- 救助に来た北海道防災航空隊ヘリコプターが強風で現場へのアプローチが困難な状況が続く
- 14:45 北海道防災航空隊ヘリコプターより隊員2名が降下
- 15:15 給油して戻った北海道防災航空隊のヘリコプターがAを収容
- 15:40 北海道警察山岳救助隊がヘリコプターで2名降下.現場にさらなる埋没者の雪崩トランシーバによる捜索を実施 (埋没者確認できず)
- 雪崩調査のために現場に入っていた調査チームメンバと協力者がAのブーツおよびスノーボードを回収
死因等 (遺族の許諾のもとの公表)
- 死因は外傷であると考えられる.
- 頚椎損傷,大腿骨骨折, 肋骨が骨折し胸部の肺に刺入
- 調査チームによる現場検証では,雪崩走路にある樹木に遭難者が衝突した痕跡が確認された.
[実施内容]Timeline of the investigation 
2021年1月26日
- 14:15 入山 (塚原,塩崎)
- 15:15 積雪調査開始
- 16:00頃 調査終了,下山開始(Aのブーツとボードを回収)
- 16:45 下山
- 17:00 キロロ, パトロール室に状況説明し調査終了
[成果と効果]Results 
<積雪調査地点>Positions of the investigated snow pits 
積雪調査地点 Invest.Place | 緯度 Lat | N43 ˚3‘22.4‘’ | 経度 Long | E140 ˚58’55.0‘’ | 標高 Elev. | 880 m |
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方位 | 斜度 Slope |
<雪崩範囲>Avalanche area 
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地図1.雪崩範囲図 | 地図2.雪崩範囲拡大図 |
背景地図等データは国土地理院の電子国土Webシステムを利用した |
<破断面,発生区写真>Crown surface 
<積雪断面観測の特徴>Details 
所見 Comments 
- 事故後,地吹雪によって破断面が埋没したことから,発生区の積雪断面観測は行わなかった.
- 発生区は1000 m a.s.l.付近の北斜面.
- 雪崩の流下距離は約462 m(地形図より推定).
- 面発生乾雪表層雪崩と推定される.
- 弱層となった雪質は不明である.
- 雪崩発生当日に880 m a.s.l.で行ったCTでは顕著な弱層は見られなかったものの,表層から40 cmで強く負荷をかけたときに破断し滑り落ちた(CTN SP).
[成果の発表・貢献] Publication and contribution 
添付ファイル:







