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Top / 事例 / 2020 / 01-30トマム山

2020年2月1日作成 (Registered Feb. 1st, 2020)
2020年2月3日公開 (Online Feb. 3rd, 2020)
2020年2月5日公開 (Update Feb. 5th, 2020)

災害調査 課題名 トマム山雪崩調査 Hokkaido Tomamu Snow Avalanche【速報】Prompt report  

研究代表者
Organizer
雪氷災害調査チーム
Snow Avalanche Research Team,
Japanese Society of Snow and Ice.
実施期間
Period
2019-2020シーズン
2020年1月31日調査実施
研究参加者
Members
阿部夕香(調査チーム・札幌山岳ガイドセンター)
Yuka ABE (Mountain Guide)

下山 宏(調査チーム・北海道大学低温科学研究所)
Kou SHIMOYAMA (Institute of Low Temperature Science, Hokkaido Univ.)

双樹智道(北海道山岳ガイド協会)
Tomomichi SOUJU (Mountain Guide)

板垣 力(陸上自衛隊)
Chikara ITAGAKI(JGSDF)

[目  的] Objective  

2020年1月30日にトマム山三角沢で発生した雪崩の調査。
Field observation and measurement in the vicinity of the site of the snow avalanche that occurred at Sankakuzawa, Mount Tomamu beside Tomamu ski resort on 30th January.

注)速報であり,本報告までに、編集によりデータが追加され、数値等は変更される可能性がある.

[災害の概要]Outline of the incident  

(新聞報道などに基づく)

  • 2020年1月30日,上川管内占冠村のトマムスキー場の敷地外で,グループ8人のうち男性1人が雪崩に巻き込まれた。
  • 仲間が救い出した時には意識も脈もなく、蘇生を試みたが断念。
  • 巻き込まれた1名を現場に残して残り7名は30日中に下山し無事。
  • 1月31日、早朝から現場に向かった富良野署員らが心肺停止状態の男性を発見し、その後死亡が確認された。

(調査チーム聞き取り内容)

  • トマムエクスプレス降り場から尾根上をハイクアップして山頂へ.
  • 山頂から三角沢上に移動,ドロップイン.
  • スキー場へ戻るため(850mのコル地点へ向かう),途中からトラバース.
  • 雪崩現場の沢地形をトラバース.4人目(8名中)がトラバースする際に破断,雪崩に飲み込まれる.
  • 埋没深は1m,10分後に埋没者救出.

雪崩発生場所・積雪観測地点・埋没地点 Positions of the investigated place  

2020トマム調査結果v1.jpg
1500x1125 941KB20200131_tomamu_site.jpg
1500x1125 231.6KB
図1 雪崩発生場所(Pitが積雪調査地点)図2 雪崩発生場所の拡大図(Google Earthで立体表示した衛星画像上にマッピング)

[成果と効果]Results  

<積雪断面調査>Investigated place  

調査地点
Invest.Place
緯度
Lat
N43 ̊04‘25.75経度
Long
E142 ̊35’43.56標高
Elev.
958m asl.
斜度
Slope
〜40 ̊方位

<規模、破断面の特徴>Details  

雪崩現場1(破断面) Avalanche trigger point
2020トマム調査結果v1-2.jpg
1500x1125 308.6KB・破断面は目視で約15 m×50 m.
・2段で切れている場所も多い.

The avalanche crown: 15 m wide, 50 m long by eye measurement.
2-different weak layers were simultaneously broken in some portion of the crown.
雪崩現場2(デブリ) Avalanche debris field
2020トマム調査結果v1-3.jpg
1500x1125 303.7KB埋没深は1~1.5 m,埋没地点のデブリ(積雪深)は3.2 m以上.

Burial depth; 1.0-1.5 m.
Snow depth at the burial point; > 3.2 m.
積雪断面構造1 Snow profile #1
調査結果v4-5.jpg
2200x2239 399.2KB+:新雪
/:こしまり雪
●:しまり雪
□:こしもざらめ雪
Λ:しもざらめ雪
○:ざらめ雪
・破断は表層から46~50cmの新雪層(弱層1)
・2つ目の破断は80~83cm直上の新雪/こしまり層(弱層2)
積雪断面構造2 Snow profile #2
調査結果v4-6.jpg
2998x1868 377.7KB
Graph Left:Snow Temp, Center:Snow Dencity, Right: Snow Hardness
+:新雪
/:こしまり雪
●:しまり雪
□:こしもざらめ雪
Λ:しもざらめ雪
○:ざらめ雪
・破断は表層から46~50cmの新雪層(弱層1)
・2つ目の破断は80~83cm直上の新雪/こしまり層(弱層2)

<積雪の概要>Accumulated snow features  

調査結果v4-7.jpg
2968x2199 1454.4KB・破断は表層から46~50cmの新雪層(弱層1).針状の結晶が見られ,密度が 低くもろい.
・CTではつぶされる形で上載部が落ちる.
・スコップで切った場合はスーッと下にずり落ちる.
・2つ目の破断は80~83cm直上の新雪/こしまり層.断面観測では65~80cm層内で違いが見られなかったが,この弱層も1つ目と同じように落ちる(弱層2).
・CTではCTH21で,2つの弱層が同時に破断.SP.
・現場では2つの破断箇所を多数確認.
・表層は風で結晶構造が破砕されている感じ.スラブ化している.
・破断面直下の層(45~52cm,78~83cm)は融解の影響が見られる.

<気象の推移と雪崩危険度>Weather conditions of several successive days to the avalanche  

2020020トマム雪崩.jpg
2000x1125 276KB気圧は下降気味(低気圧接近)、気温上昇 1月28日 前夜から放射冷却で冷えていた が(無風)、日の出から気温上昇、弱い風。 その後気温は高いまま(南風)。
1月29日 午後から降雪はあるが、降水は 観測されていない(多分ふわふわな雪で、降 水0.5mmに達しなかったため?。 これが弱層に(雲粒なし結晶:札幌積雪情報 第26号参照)。積雪深は少し増加。
1月30日 午前中から弱風で多量の降雪。 降水、降雪とも記録あり。 積雪深は急増、これが上載積雪となり、駆動 力増加、雪崩危険が増した。


気象データ
アメダス 幾寅 (気圧:帯広)

Graphs (Up to down)
-Air Pressure (at Obihiro)
-Air Temperature
-Wind Speed
-Precipitation
-Depth of snowfall
-Snow Depth
Based on the AMEDAS records at Ikutora.
file2020020トマム雪崩.pdf

[成果の発表・貢献]Publication and contribution  


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