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事例/2020/03-05ニトヌプリ


2020年3月13日作成 (Registered Mar13th 2020)
2020年3月19日公開 (Online Mar19th 2020)

災害調査 課題名 ニセコニトヌプリ雪崩調査 Hokkaido Mt. Nito-nupuri Snow Avalanche【速報】Prompt report  

研究代表者
Organizer
尾関俊浩(北海道教育大学札幌校)
Toshihiro OZEKI,
Hokkaido University of Education
実施期間
Period
2019-2020シーズン
2020年3月6日調査実施
研究参加者
Members
田中 久敬(調査チーム・ニセコメッカ)
Hisataka TANAKA (Mountain Guide)
秋田谷 英次(調査チーム・NPO雪氷ネットワーク)
Eizi AKITAYA (NPO Snow and Ice Network)

[目  的]Objective  

2020年3月5日にニセコニトヌプリ西斜面で発生した雪崩の調査。【速報】
Field observation of a snow avalanche occurred on the western slope of Mt. Nito-nupuri on 5th March.

注)速報であり,本報告までに、編集によりデータが追加され、数値等は変更される可能性がある.

[災害の概要]Outline of the incident  

3名パーティ

  • 3月5日12:50頃,ニトヌプリ西面標高925mあたりから滑走したスキーヤーが雪崩に遭い,10mほど流される.埋没せず.
  • 直後に残る2名のうち1名が雪崩に巻き込まれたとわかる.
  • すぐに雪崩トランシーバーによる捜索を開始し,標高907mで頭と片腕以外埋没しているのを発見,掘り出し開始.
  • 左太もも打撲,左眼下骨折.
  • 雪崩の幅10〜15 m、長さ100〜150 m.

[実施内容]Timeline of the investigation  

2020年3月6日

  • 09:30 チセヌプリスキー場駐車場発
  • 10:00 入山 (パノラマライン−五色温泉分岐)
  • 10:30 積雪断面観測開始
  • 12:30 調査終了,下山
  • 14:00 倶知安風土館,積雪観測開始
  • 14:30 観測終了

[成果と効果]Results  

<積雪調査地点>Positions of the investigated snow pits  

積雪調査地点
Invest.Place
緯度
Lat
N42 ̊52‘16.26‘’経度
Long
E140 ̊36’38.24‘’標高
Elev.
630m asl.
方位WNW斜度
Slope
積雪表面 20°

<雪崩範囲>Avalanche area  

0305雪崩地図.jpeg
1866x1160 208.9KBsnow pit point_0.png
1028x747 635.3KB
図1 雪崩発生地点.発生区は見えず.現地には2つの雪崩跡があり,
 南側が事故のあった雪崩.北側の雪崩は事故より前に発生していた模様.
図2 積雪調査地点(2020年3月6日).+:調査地点,○:埋没地点
 雪崩は,崖下の急斜面から発生したと推定される.
 地図から推定される雪崩の流下距離は,250 m.

<発生区,堆積区写真>Avalanche release point and debris  

補正89281564_873142016472811_3427643382657187840_n.jpg
1350x640 87.3KB
図3 破断面.ニトヌプリ西面標高956 m,斜度35度.浅い沢型で上載積雪は中央の深いところで65 cm.
破断面の厚さは中央で厚く,両端で薄い.滑り面はこしまり雪.(提供:陸上自衛隊 冬季戦技教育隊,色調補正)
received_207647917109093.jpeg
4032x3024 944.6KB
図4 デブリの様子(3月5日撮影).柔らかく,顕著なブロックや雪塊はない.上の人影は救助の人々.

<積雪断面観測の特徴>Details  

積雪断面構造1 Snow profile #1
ニトヌプリ層位写真付.jpg
2537x2475 626.5KB図5:層構造
+:新雪
/:こしまり雪
●:しまり雪
□:こしもざらめ雪
Λ:しもざらめ雪
○:ざらめ雪
・破断は表層から18~25cmの新雪層(弱層1)
・2つ目の破断は53cmに位置する1mm程度のごく薄い降雪結晶の層(弱層2)
 53cm層の結晶形はい糧直結晶に類似
 写真は図7<2020306ニトヌプリ.pdf>参照
積雪断面構造2 Snow profile #2
ニトヌプリ温度密度硬度_0.png
5458x2849 1110.8KB
Graph Left:Snow Temp, Center:Snow Dencity, Right: Snow Hardness
図6:積雪の特徴
左から層位:雪温:密度:硬度(プッシュゲージ)
朱線は破断1,破断2の位置
・雪温に大きな変化はない
・弱層1は密度,硬度ともに顕著に小さい
・弱層2は極めて薄い層なので密度と硬度の計測値には現れない
20200306ニトヌプリ.jpg
4000x2250 1435.3KB図7:各積雪層の雪粒子写真
3月6日小雪、気温-1.7℃
観測開始:10:23、終了11:30.
観測者:秋田谷英次(雪氷ネットワーク)
尾関俊浩(北海道教育大札幌)
田中久敬(ニセコメッカ)
図5の断面観測箇所より下流でピットを掘ったため層位には多少の差がある.△鉢の層は図5では上から2番目の層に集約して記載されている.
file20200306ニトヌプリ.pdf

コンプレッションテスト(CT)  

received_518037549137494_0.jpeg
4032x3024 247.5KB
CT-1:3/5 850 m a.s.l.
Aspect:W, Incline:30˚
CTM12 d15 SP
CTH25 d55
CT-2:3/6 630 m a.s.l.
Aspect:NW, Incline:32˚
CTE7 d20 SP
図8 3月5日当日の雪崩現場近くのスノーピット.
CT-1は3月5日現場近傍,CT-2は3月6日に積雪断面観測近傍で実施したコンプレッションテスト
そのほかのコンプレッションテストの結果(CT-3, CT-4).3月5日破断面近傍で行った(提供:陸上自衛隊 冬季戦技教育隊)
CT-3:3/5 865 m a.s.l.
破断面スキーヤーズレフト, Incline:35˚
CTM11 d28, 33 SP
28 cmの反応は敏感であり,33 cmも次いでSP(MFcr上)
CT-4:3/5 965 m a.s.l.
スキーヤーズライト(北側), Incline:36˚
CTE 3 d10 RP
CTM13 d30 RP(MFcr上)

所見 Comments  

  • 積雪調査は雪崩発生場所であるニトヌプリの登り口付近で行った.雪崩現場については田中が調査した結果を示した.
    発生区は陸上自衛隊 冬季戦技教育隊より情報提供をいただいた.
  • 現地には2つの雪崩跡があり,南側の雪崩に2名が巻き込まれた.北側の雪崩は事故より前に発生していた.
  • 調査時には雪崩の発生区は確認できず,3月5日雪崩発生時の破断面の写真提供等を受けた.
  • 発生区は965 m a.s.l.の斜度35度の西斜面.破断面は中央部が厚さ65cmで両脇に行くと薄くなる.
  • デブリは柔く,大きなブロックや雪塊は無かった.雪崩層には硬いスラブが含まれていなかったと推察される.
  • 雪崩の流下距離は約250 m.
  • 積雪断面観測では,2つの弱層が観測された.雪面から18cm下(弱層1)と53cm下(弱層2).
  • 3月5日当日に行ったCTの2カ所の破断面(CTM12 d15 SPとCTH25 d55)に相当すると考えられる.
  • 弱層となった雪質,剪断強度,斜面安定度は次の通り.
    • 弱層1は低気圧の接近で降った雲粒なしの降雪結晶(写真のぁ砲弱層を形成.
      シアーフレームによる剪断強度SFIは426 [N/m^2]であり,観測場所の安定度SIは3.36.発生区の想定斜度35度で換算するとSI= 2.30.
    • 弱層2はこしまり雪の層としまり雪・こしまり雪の層の間のごく薄い降雪結晶(樹枝状、広幅六花など板状結晶)が弱層を形成.
      SFI= 756 [N/m^2],観測場所のSI= 3.37、斜度35度換算でのSI= 2.30.
    • 積雪断面観測場所では融解凍結層(95-97 cm)の上部には顕著な弱層は見られなかった.
  • 発生区の写真とコンプレッションテストの結果より,雪崩事故は弱層2が滑り面となった面発生乾雪表層雪崩と推定される.
  • 18-25層は密度が小さく大変やわらかい層であり,結晶形や硬度から連結度が小さいことがわかる。
    弱層1は今回の面発生雪崩の弱層としてではなく,この層を含む上部のやわらかい層が今回の雪崩層の主体となったことが推定される.

[成果の発表・貢献] Publication and contribution  


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