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2015年1月17日に新潟県妙高市・粟立山で発生した雪崩事故について、事故当事者に聞き取り調査を行いましたので、その概略をお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。
●データ●
日付: 2015年1月17日
時刻: 10時30分頃
場所: 新潟県妙高市粟立山( 地形図 )
種類: 面発生乾雪表層雪崩
規模: size 2
破断面: 北東、幅50 m、スラブ厚30〜40 cm
弱層: 未確認
すべり面: 未確認
図1 現場付近の地形図(クリックで拡大)
写真1 発生区の状況
写真2 雪崩走路の状況
●事故の状況●
人数: 2人
種別: 山スノーボード(スプリットボードを使用)
被害: 2名完全埋没、1名死亡(死因:窒息)
内容:
1月17日(土)、7時40分頃、2人の山スノーボーダーは登行を開始した。登り始めた時には、湿った雪が降り始めており、風も強かったが、新雪はほとんどなかった。登行するにつれ降雪、風共に強くなり、雪質も乾雪に変化した。登行ルート上の新雪の量は10cm〜20cm程度で、その下は良く締っており、急斜面の登行時においても顕著に不安定性を示すような兆候は見られなかった。
10時30分頃、2人は標高900m付近から滑走を開始。スタート付近は風により雪が吹き溜まっており、新雪の深さは30cm程度で、吹雪で視界が悪い状態であった。一旦、標高850m付近でリグループした後、Aが先に滑走を再開し、3ターン目で雪崩が発生した。
Aは雪崩に巻き込まれ完全埋没したが浅いこともあり自力脱出できた。当時、視界は50m程度で、AからはBの姿は見えず、大声で叫ぶも返事がなかったため、電話を掛けたがBからの応答はなかった。Aは、斜面上部に向かってビーコンによる捜索を開始した。
初めは、何も反応がなかったものの斜面を登ると電波を受信した。ビーコンで埋没点を特定し、ショベルで掘り、頭を下にして埋没するBを発見。Bは既に意識、呼吸共になく、顔には外傷があった。
AはBを掘り出した後、心臓マッサージと人工呼吸を開始。しばらく処置を続けた後、携帯電話で消防へ雪崩事故を通報。後に警察へも通報。夕方まで処置を続けたがBの意識は戻らなかった。17時00頃、雪洞を掘りボードを蓋にして風雪を凌ぎビバークした。
1月18日(日)11時00分頃、遭難対策対連絡協議会および警察、消防関係者が現地に到着。その後、A、B共に長野県警のヘリコプターで搬送され、病院にてBの死亡が確認された。Aは手足末端の軽度の凍傷。A、B共に地元に居住しており、経験10年以上、年間滑走日数30日以上の熱心な山スノーボーダーであった。