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2014年3月21日、長野県小谷村・栂池高原鵯峰において発生した雪崩事故について、捜索関係者からの聞き取りができましたので、ここに概略をお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。
●データ●
日付: 2014年3月21日
時刻: 11時25分頃
場所: 栂池高原鵯峰( 地形図 )
種類: 面発生乾雪表層雪崩 (雪崩情報の区分では ストームスラブ )
規模: size 1.5〜2(詳細不確定)
方位: 南西
補足: 破断面等の詳細は降雪に埋もれ不明。
赤丸が概ねの埋没区域。Aはよく利用されているゲレンデからの林道入口。青い矢印は、過去にリフト乗り場まで到達する雪崩を発生させた雪崩道。
赤丸が概ねの埋没区域。緑線は林道。右手がスキー場方面となる。右手の雪崩道が上記地図の青い矢印にあたる。被災者は林道を利用せず、中腹部を移動していたとのこと。
林道の写真。奥がスキー場方面となる。人物の手前に盛り上がっている部分が、事故となったデブリの一部。その奥にも林道の上に載るデブリが見える。こちらのデブリは、事故発生以前に起きた雪崩によるもの。
●行動●
グループ: 5人
種別: 山スキー
内容: 蓮華温泉へのツアーを計画していた5人の山岳会所属の山スキーヤーが、鵯峰の中腹部を移動中、前方の3人が雪崩に巻き込まれた。「移動」がトラバースであるか、滑走であるかは不明。近隣にいたガイドを含む多数の山スキーヤーが協力してゲレンデまで搬送。そして栂池高原スキー場のスキーパトロールを経由して病院へ搬送されたが、1名が死亡、1名が腕の骨を折るなどの重傷を負った。
●積雪●
雪崩の原因となった弱層は、22日に実施した周辺調査により、20日に認知されていた融解凍結層と新雪の境界面の脆弱性ではなく、20日から21日にかけてのまとまった量(森林限界で60cm程度)の新雪内に存在する脆弱性であると推察された。当日の 雪崩情報 (21日7時発表)。気象庁の大雪警報の発表は21日9時30分頃。
●救助●
流された3人の内、1人は顔のみ、1人は片手のみが雪面に出ており、もう一人は埋没していなかった。埋没した2人は、流下中に樹木に衝突するなどして骨折等の怪我を負った。そして近くを通り掛かった3人のガイドを含む一般山スキーヤーやスノーボーダーが協力して救助活動を行った。被災者を埋没場所から林道上に移動させた時点で、既に低体温の症状が出ていたため、早稲田小屋に滞在していた山岳関係者から毛布3枚、湯たんぽなどの提供を受けつつ、保温に努めるも、早急な搬送が必要な状態とガイドは判断。圧雪車あるいはアキヤボートの協力をスキー場に要請するも適わず。また、その協力が得られるか否かについても、情報伝達の問題により時間が掛かり、最終的にガイドおよび一般山スキーヤーやスノーボーダー、約30名以上が協力してツェルト搬送によって林道入口まで被災者を移動させた。そして、林道入口にて登山者が張っていたテントを借りることができ、被災者を収容し保温に努めた。その後、14時頃、被災者をスキー場のスキーパトロールに引き渡し、圧雪車等にて搬送が行われた。