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一般財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:松尾道彦)は、2011年8月30日(火)に台風12号の類似台風でみた被害の様子をまとめました。
台風12号は小笠原諸島の南を北上し、日本列島をうかがっています。このままの進路をたどると、東海〜関東付近に接近し、東北や北海道付近を通過する可能性が最も高いと見られます(30日15時時点)。今後の台風情報にご注意ください。
1. 台風12号の類似台風
日本気象協会では、
- 小笠原諸島付近から東経140度周辺を北上
- 東海〜関東地方に接近または上陸
- その後、東北や北海道を通過する
というコースに着目し、類似した台風を1951年以降発生した1584個の中から抽出した結果、関東地方から北海道の広い範囲で影響が大きく、甚大な被害に結びつく例が多いことが明らかになりました。
類似として抽出した台風は4例です。
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図1.台風12号の進路予報(30日15時) |
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図2.類似台風の進路 (図中の番号は類似例番号を示す) |
2.類似例を通してみた台風12号の影響
(1)気象現象
- 現在、大型の台風であることに加え、北の高気圧の張り出しもあって、台風が接近するに従って、強風域が拡大する(まだ遠くても風が強まる)可能性がある。
- 関東最接近のころから上空の強風に乗って加速する公算が高く、スピードが上がると、台風の東側にあたる範囲は、風がさらに強くなる恐れがある。
- 伊豆〜東北地方では東に開けた斜面(伊豆半島、箱根、奥多摩、秩父や奥羽山脈東側など)では湿った空気の吹き付けが長時間続くため大雨になりやすい。
- 東京、横浜など大都市域にも台風本体の雨雲がかかりやすく、1時間に50mm以上の猛烈な雨をもたらすこともある。(東北の太平洋側の地域も同様)
- 東北地方を北上する進路をとった場合には、強い東風の影響で高波が顕著となり、高潮の危険性も高まる。
- 関東西部(神奈川周辺)に上陸した場合、都心や東京湾岸では最大瞬間風速40m/s(場合によっては50m/s超)の暴風となる。
(2)社会への影響
- 中小河川のみならず、大規模河川の増水の恐れがある。都市部の内水氾濫や斜面崩壊、暴風などによる鉄道交通への影響が大きくなりやすい。
- 降水量が多くなる関東西部の山間部を中心に、土砂災害、河川の氾濫などの危険性が著しく高まる。
- 東北の太平洋沿岸など、地盤沈下している被災地では、高潮害及び河川増水の影響で、浸水被害が深刻になる危険性がある。
- 震災以降、最も多い雨量を記録することが多く、もろくなっている斜面に影響する危険性が高まる。
- 東海・関東以北では、高速道路の規制や国道の通行止め基準雨量に達する可能性がある。
3.類似台風の特徴
類似例 |
狩野川台風(1958年22号) |
上陸地点と上陸時の気圧 |
神奈川県三浦半島付近、960hPa |
気象の特徴 |
・東京都心は日降水量371.9mm ・伊豆半島〜箱根では総雨量が500mmに達したところも |
主な被害 |
・静岡県狩野川が決壊し、死者、不明者1200名以上 ・京浜地方を中心に洪水、浸水被害、関東の交通機関は2日に渡って寸断 |
類似例 |
2007年09号 |
上陸地点と上陸時の気圧 |
伊豆半島南部 960hPa |
気象の特徴 |
・秩父〜伊豆・箱根を中心に大雨(総雨量500〜700mm) ・石廊崎で最大瞬間風速54.6m/s、三宅島でも50m/s超 ・東北の太平洋側でも300〜450mmの大雨 |
主な被害 |
・多摩川や相模川で氾濫の恐れで避難勧告。 ・JR線などの運転見合わせ多数で交通大混乱 |
類似例 |
2002年21号 |
上陸地点と上陸時の気圧 |
神奈川県川崎市付近、965hPa |
気象の特徴 |
・最大瞬間風速は銚子52.2m/s、勝浦50.5m/s、大島45.7m/s ・箱根の346mmを筆頭に、関東地方の山沿いでは200〜300mmの大雨 |
主な被害 |
・暴風や高波の間接的な影響と見られる事故で死者4名 |
類似例 |
1993年11号 |
上陸地点と上陸時の気圧 |
銚子市付近(通過)、970hPa [銚子付近通過時] |
気象の特徴 |
・東京で日雨量234.5mmなど関東平野部で大雨 |
主な被害 |
・都内で浸水7500棟を超える内水氾濫被害 ・JR品川駅冠水、営団(現東京メトロ)御茶ノ水駅付近の斜面崩壊などで運休列車多数、交通機関は「最大規模のマヒ」 |