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                                                                                                    2012年12月19日速報公開
                                                                                                    2013年4月25日更新

災害調査 課題名 2012年12月16日に三段山で発生した雪崩調査  

研究代表者森林総合研究所北海道支所・山野井克己実施期間2012年12月17日
研究参加者研究部門:北海道大学・中村一樹
ガイド部門:大西人史、菊地基、山本行秀
同行者:(日本雪崩ネットワーク):池田慎二、林智加子

[目  的]2012年12月16日に三段山で発生した雪崩の調査  

[災害概要]  

発生地点:北海道上富良野町三段山中腹(通称二段目付近)
発生日:2012年12月16日午前10時頃

[調査結果概要]  

・破断面調査地点位置:N43°25'27.07", E142°39'15.36"、標高1307m
・デブリ末端標高1272m、破断面最高標高1310m
・緩斜面から急斜面へ変化する北西向きの斜面、斜度30-40度
・堅めのスラブの面発生乾雪表層雪崩
・雪崩の規模:破断面幅最大約60m、水平距離最大約70m、破断面の厚さ 40-80cm、標高差約30-40m
・5冂度の厚さの降雪結晶(1-2mm)の弱層があり、層内で破壊が起こっていた。
・破断面付近のシャベルコンプレッションテストでは、四角柱を切り出している最中に破壊する箇所もあれば、腕全体を使って手の平でしっかりたたくと破壊する箇所もあり、ばらつきがあった。
・この層の安定化に注意する必要がある。

[破断面調査結果]  

調査日時:2012年12月17日入山9時〜下山16時(現場:10時40分〜15時30分)
天気:くもり一時雪
気温:-8.8℃(13時30分)
風:北西の風弱い(13時30分)
破断面調査地点位置:N43°25'27.07", E142°39'15.36"
標高1307m
積雪深:305cm
傾斜:35°(走路の傾斜:38°)
斜面方位:北西
見通し角:24°(デブリ末端ー破断面)
植生:樹木はほとんど無い
傾斜が変化する部分に破断面

弱層:235-242cmの降雪結晶の形状が残る新雪・こしまり雪の層
上載積雪:242-304cmの硬いしまり雪の層が主で、東寄りの風で発達した風成雪が含まれていると考えられる。

破断面と雪質.jpg
1287x738 86.4KB破断面の層構造

積雪深:305cm

層構造
304-305cm:新雪(++)
242-304cm:しまり雪
237-242cm:新雪・こしまり雪(+/)(降雪結晶の形状が残る):弱層
235-237cm:新雪・こしまり雪(+/)(降雪結晶の形状が残る):弱層
217-235cm:しまり雪(●●)
216-217cm:こしまり雪(//)
150-216cm:しまり雪(●●)
150cm以下未調査


層構造・高度・密度・雪温.jpg
890x710 71.6KB雪温、密度、硬度、層構造

弱層に相当する層の硬度が最も小さく、密度が最も小さい。
242〜304cmは比較的硬いしまり雪である。
150cm以上の深さの雪温は、-6.5℃〜-8.5℃である。
せん断応力・安定度.jpg
799x710 66.5KBせん断応力、せん断強度、積雪安定度、層構造

せん断強度(SFI:Shear Frame Index)の測定は、シアーフレームを用いて積雪を破壊してせん断強度(Pa)を直接測定するのが一般的である。ただし、積雪層内の層ごとに細かく測定するためには、ある程度の広さと時間が必要になる。本調査では、短時間で、場所を取らずにSFIを測定するために、プッシュゲージを用いて積雪の硬度H(Pa)を測定し、せん断強度に変換する方法(竹内ら, 2001)を選択した。
式(1)に硬度をせん断強度に変換する式を示す(山野井ら, 2004)。

せん断強度σ(Pa) = 0.0180 * H ^ 1.18  ・・・(1)

ここで、

H:直径15mmの標準アタッチメントを用いたプッシュゲージによる硬度の測定値(Pa)


積雪安定度は、式(2)で表される(Roch, 1966)。

                 σ
積雪安定度 SI =―――――――――   ・・・(2)
             W sinθ cosθ

ここで、
σ = せん断強度(Pa)
W sinθ cosθ = せん断応力 (Pa)
W = 上載荷重(N/m2)
θ = 斜面の傾斜角

式(1)で求めたせん断強度を式(2)に代入すると、積雪安定度を求めることができる。


グラフを参照すると、弱層に相当する237cmのせん断強度が最も小さく、積雪安定度SIが2.3になっていることがわかる。
雪崩の危険性の判定例として、SI<4(Roch, 1966)の時に雪崩危険性が高まるという報告がある。このことから、(雪崩事故から1日経過した調査時点でも)積雪が不安定であると判断できる。

[図と写真]  

地形図.png
1280x880 989.5KB雪崩発生位置(破断面調査地点とGPS測定による雪崩範囲)
「この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Web システムから配信されたものである。」   
IMG_0112_mini.jpg
1024x682 83.1KB破断面とデブリ
IMG_0108_mini.jpg
1024x682 57.2KB破断面調査
弱層結晶.jpg
960x720 56.9KB弱層となった新雪・こしまり雪層の結晶(深さ240cm)
降雪結晶の形状が残っている。
デブリのブロック.jpg
496x331 23.8KB堆積区には、厚く硬いブロック状のデブリが散在していた。

[成果の発表・貢献]  

2012年12月18日北海道新聞朝刊(道北版35面)
2012年12月22日北海道新聞朝刊
2012年12月22日毎日新聞朝刊(北海道版)
2012年12月23日朝日新聞朝刊(道内)
2012年12月24日読売新聞朝刊(道総合)
2013年4月10日北海道山岳レスキュー研究会講演


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